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2009年1月

ベンチマークの構造と見えないコスト

なんとなく会社の帰り道に思い出した、2年半くらい前のベンチマークイベント。以下を読んで、面白い!!と思えた方は、是非今度酒を酌み交わしましょう。

思い出しながら書いているので、細部のディテールが異なっている場合はご容赦下さいあと、用語は意図的に平易にしているので、それは合併じゃなくて完全子会社化だろうとか、そういうツッコミもご容赦下さい。(マニアックすぎるな・・・。)

■TOPIXのベンチマーク変更ルール

・東証2部⇒1部に指定変更があった場合、その銘柄は指定日の翌月末にTOPIX組み入れとなる。例えば、1/20に東証2部から1部にステップアップした銘柄は、2月末まではTOPIX外の東証1部銘柄となる。これは、1部で流通し始めてから1か月ほどインデックスファンドへ購入の猶予期間を与え、需給の逼迫を避けることが目的。

・合併による株式交換でA社が上場廃止になる場合(要は倒産などではなく、コーポレートアクションで上場廃止になるような場合)は、その銘柄は上場廃止日にTOPIXから除外。ちなみに倒産などの場合は、しばらく整理ポストで売買された後上場廃止となるが、ベンチマークからは上場廃止を待たずに早々に除外される。

■事態

・A社(東証1部)がB社(東証2部)に吸収合併されるため、8月末で上場廃止。上場廃止とほぼ同タイミングで、A社株主には親会社であるB社株が一定の交換比率で割り当てられる。

・TOPIX採用銘柄のA社を保有していたインデックスファンドには、採用外のB社株が割り当てられる。ベンチマーク外なので、素直に考えるとB社株は売却しなければならない。
・東証は合併の1か月後の9月末にB社を東証2部から1部に指定変更する旨を発表。(東証1部銘柄と2部銘柄が合併したのだから、規模的には1部銘柄の条件は満たしているので、これ自体は妥当な判断。)

・そして、B社のTOPIX組み入れは、9月末に実施する旨も同時に発表。

・・・当時若かった私は、引け後の夕下がりにこのリリースを見て、思わず「バッカじゃねえの」と呟いてしまった。若気の至りである。

この変更方法だと、忠実にベンチマークにトラックするためには、8月末に株式交換でB社株を割り当てられたら速やかに一旦売却し、1か月後のTOPIX組み入れ日に再び買い戻す、というオペレーションを実施することになってしまう。

最終的には保有しなければならない銘柄を、ベンチマークのテクニカルな調整のためにわざわざ反対売買しなければならない。売買すれば、当然売買手数料は取られるわ、Ask-Bidは抜かれるわ、マーケットインパクトはかかるわで、コストがかかる。

売買回転率を極力抑えてコストを抑制するのは、インデックスファンドに求められる主要な努力だ。そのインデックスファンドのベンチマークとして利用することを想定しているTOPIXのような指数も、当然回転率を抑制するように設計されて然るべきだと思うのだが、なんとなく「1部指定のときは1か月開ける」という前例を踏襲してしまったようなのだ。

小さな銘柄だったと記憶しているので、継続保有しようが反対売買しようが経済効果としては大した違いはなかったと思うが、こうしたベンチマークに追従するための売買はタイミングがまるわかりなので、投機の格好の餌食になってしまうというデメリットもある。そのため、影響の大小はさておき、こうしたベンチマークの変更方法については神経を尖らせておく必要がある。

尚、東証の担当方の名誉のために付け加えておくと、上のケースは2部の会社が1部の会社を吸収するという非常にレアなケースであり、ああいうちょっとお役所的な組織ではいろいろしがらみも多く、苦肉の策であったであろうことが推測される。

ちなみに、多分当時結構問い合わせ・苦情その他があったのだろう(私も東証に問い合わせの電話をしました)、今は改善されてこういった変更はしない筈である。

インデックスファンドへの投資というと、どうしても信託報酬などのコストに目が行きがちではあるが、そもそもファンドがトラックする対象のベンチマークの設計次第で、経済効果はかなり違いが出てくる。信託報酬のように直接見えるコストではないため意識しにくいが、こうした見えないコストも長期で見るとかなり運用のパフォーマンスに影響を与える。

このベンチマークの構造とみえないコストについては、色々な事例があり実証研究もあったりするので、また機会を見つけて考えてみたいと思う。

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インデックス運用には価値観や美意識がないか

一年近く前の記事ですが、こんなものを発見。

■インデックス運用には価値観や美意識はない--澤上篤人 さわかみ投信代表取締役(東洋経済オンライン)
http://www.toyokeizai.net/business/interview/detail/AC/a592674800488bda407f7bf5eda6229c/

アクティブのファンドマネージャーとはやはり分かり合えないのかな・・・と少し複雑な気分になった。インデックス運用に対する評価としては良くあるもので、ここまで直截的にではないにしろ、近いことは定期的に言われる。

あと、言われて傷つくのは「インデックス運用っていうのは、客の代わりに面倒なことをしてあげて報酬貰う仕事でしょ」的な評価。要は、技術ではなく手間の対価として金もらってんだろ、と、遠まわしに付加価値が低いと言われている。職種間のこうした序列意識は、どの世界にもあることだし、えてして発言者本人のコンプレックスの裏返しだったりするものなので、華麗にスルーするのが大人な対応なのだろう・・・が、僕は子供なので傷つきます。だからあんまり言わないでやって下さい。

・・・と、話が逸れた。

この記事が掲載されている時点で既に下げ相場に突入しているので、営業上強気の発言をする必要があったのかも知れない。事情はさておき、こういう言われ方をするのは気分のいいものではないけど、主義主張は人それぞれなので、文句を言ったり反論したりするために取り上げたわけではない。

ちなみに、下げ相場時には相対的にインデックスファンドの評価が上がる。逆に上げ相場の時は、こんないい相場のときに何インデックスなんて持ってんだよ、となる。この辺は完全にうろ覚えの聞きかじりだが、この背景としては、

・上げ相場でベンチマークに勝つことの方が、下げ相場でベンチマークに勝つことよりも容易。そのため上げ相場時には多くのアクティブファンドがベンチマークをアウトパフォームする。
・下げ相場時には、「何十%も下がってんのに、その上こんなに手数料払うのかよ」という心理的抵抗感が倍増する。こういう心理状態のときに、「いやいや、対ベンチマーク比で1%も勝ってますから・・・。」と言っても焼け石に水。

というものがあるようだ。

また話が逸れたが、この記事を読んだとき、「投資の技術や判断能力がない」ではなく、「価値観や美意識がない」という評価のされ方が、インデックスマネージャーとしてはやや新鮮だった。インデックス運用も知名度が向上して、技術と経験が必要な運用専門職だと、ひょっとしたらアクティブの皆さんも理解してくれるようになったのかも知れないと好意的に受け止めすらした。(勘違いだ。)

冷静に思いなおしてみると、良くある「インデックス運用はフリーライダーだからけしからん」的意見の一形態なのだが、「価値観や美意識(=運用哲学)」という掴みどころのないものが批判というか議論の対象になるあたりが、(長期の)資産運用業界を象徴する現象だと思う。

才能や努力と結果の相関が高い分野、行動に対して結果が速やかにフィードバックされるような分野では、上記のような曖昧なものが議論の対象となることはあまりないだろう。重要なのは結果が出ているか否か、それだけだ。短期のディーリングの世界では、長期投資よりは明らかに能力(注:努力ではない)と結果の相関が高く、且つ結果がすぐ出る。そのため、結果が出せなくて避難されることはあっても、「美意識が云々」というような批判をされることは絶対にないと思う。

資産運用業界で、「運用経験年数」なるものがやたらと重視されるのも、他にファンドマネージャーの能力を定量的に評価できるまともな尺度がないことによるものだろう。

そう考えると、自分は何と曖昧な世界に飛び込んでしまったんだと思う。自分の子供には、将来はもっと努力と結果の相関が高い職種に就いてもらいたい・・・と切に願う。

だが、努力が適切に報われないかもしれない、そうした不確かな状況だからこそ先が見えなくて面白いんじゃないか、と思えなくもない。それに、資産運用のためのインフラを社会(大袈裟だが)に提供している、という公共性を感じることができる点は、今の職種のいいところだとも思う。

総合的に考えると、まあまあいい職種なんじゃないか、と思うことにした。

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インデックス運用者のキャリアパス(2)

独断と偏見だが、インデックス運用者に必要なスキルを3つ挙げてみる。

(1)事務処理能力/事務企画能力
(2)ポートフォリオ構築能力
(3)コンサルティング能力

まずは(1)について考えてみる。

採用するベンチマークにもよるが、通常インデックスファンドは千数百銘柄を保有しているため、売買時の事務コストが大きい。また、保有銘柄が多いため、必然的に保有銘柄のコーポレートアクション関連の事務処理も多い。また、顧客はインデックスファンドの売買で資産間のエクスポージャー調整を実施するので、キャッシュフロー対応の売買も頻繁実施する必要がある。

この頻繁に発生するオペレーションを正確に実施するのが、若手のインデックスマネージャーの主な仕事となる。そして与えられたオペレーションをつつがなくこなせるようになると、事務フローの効率化や、VBA等を利用した手元ツールの作成、大規模なシステム構築にユーザーとして参加して業務要件定義を実施、といった仕事にアサインされるようになる。

これらは、投資というよりはインフラ構築に属する類の仕事だ。EXCELやらVBAやらでデータハンドリングするのが好きな人にとっては違和感のない仕事内容なのだが、個別銘柄を定性的に分析して投資対象を決めて・・・といったことがやりたかったり、投資理論などに興味を持ってクオンツをやりたいと言って運用会社に就職した若手などは、自分の志望と現実の仕事内容のギャップに苦しむケースが少なくない。(アクティブマネージャーやクオンツでも、若手の仕事は事務作業中心ではあるのだが、やはり職種柄処理しなければならない作業量は相対的にかなり多い。)

インデックス運用のセクションで一目置かれる程度の事務処理能力/事務企画能力を身につければ、アセットマネジメント関連の職種であれば比較的潰しがきくので(営業上の建前としては、各運用会社ともに自社の運用力を強調するが、実態としては運用会社はインフラ構築の色彩が強い業態だと思う。)、例え希望通りの配属でなかったとしても、数年頑張ってみる意味は十分にあると思う。

また、アクティブFMの場合は、経験豊富でも、運用の能力が高くても(何をもって運用能力が高いとするかは、非常に定義が難しいが。)、それがパフォーマンスを保証するわけではない非常に運の要素が強い職種だが、事務処理能力/事務企画能力については、能力と結果の相関が非常に高い。そのため、努力が適切に報われるという点では健全だと思う。

一方で、こうした処理能力が高いと、中途半端に重宝がられて雑務が増える、というデメリットもある。自分が目指すキャリアがインフラ構築系の職種ではない場合、目の前の仕事に追われてやりたいことができず、フラストレーションが溜まるリスクもある。どの業界・職種でも言えることではあるが、「与えられた仕事をきっちりこなす」ことと、「自分のキャリアにとってはプラスにならないことはきっちりと拒否する」ことのバランスをとることが重要思う。

この(1)の能力を一通り身に付けた後に、(2)(3)の応用的な仕事をだんだん振られるようになってくる。この段階になってくると、徐々に仕事への満足度も上がってくることになる。(・・・と思う。)

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インデックス運用者のキャリアパス

日本でインデックス運用を専門で担当するファンドマネージャーが生まれてからせいぜい10年程度しか経っていないのではないかと思う。それ以前は、アクティブ運用を担当するFMが片手間に運用していたり、アクティブFMの下っ端が修行も兼ねて担当する、といったパターンが主流だったのではないか。

アメリカなどでは、もう少し歴史が古く、インデックス専業の運用会社がいくつも存在しており、インデックス運用者のキャリアパスももう少し確立されている印象だ。(インデックス専業と言っても、完全に専業ではなく、各社共にピュアなインデックスよりもフィーの取れるエンハンストインデックスやクオンツアクティブも手掛けてはいる。そういう意味では、プロセス運用専業、というのが正確かも知れない。)

歴史の浅い職種の性として、キャリアパスが十分に確立されていないため、新人のインデックス運用者の育成方法に悩んだり、私のように一通り基礎的なインデックス運用のノウハウを身につけた若手~中堅層が、今後のキャリア形成について悩むというケースが多いように思う。

インデックス運用者に必要なスキルセットについては十分に整理しきれていないため、組織として体系的なスキルを取得させる教育制度は確立されてはおらず、OJT中心となる。

アクティブのFMの場合、「相場観」などと呼ばれる暗黙知の取得が職業柄重要であり、この種の暗黙知は体系的な教育で身につけるというよりは、経験豊富な上司・先輩から盗んで身につけるものなので、OJT中心の教育は理にかなっていると思う。

ただ、インデックス運用の場合、そもそもの運用哲学として透明性や再現可能性がアクティブよりも重視される運用スタイルなので、形式知を体系的に取得する機会が多くても良いように思う。

ステレオタイプな表現だが、アクティブ運用は「アート」な側面重視、インデックス運用「サイエンス」な側面重視という傾向がある。サイエンスの取得には、キャリアの初期段階での体系的な形式知の取得が不可欠だ。

また、OJT中心の場合、師匠の技をコピー⇒その後その技を自分なりに発展させる、という手順で育つことになるが、師匠が必ずしもインデックス運用者として必要なスキルをバランス良く身に付けていないケースも多いため、弟子のスキルセットも偏ってしまうリスクがある。

私より上の世代のインデックス運用者の経歴を見てみると、

・アクティブFM出身
・クオンツ出身
・バックオフィス(証券事務担当)出身

といった経歴の方が主流のようだ。外資系などでは、金融系SE・ITコンサル出身の方も結構いる印象だ。分野の創成期には当然その分野の専門家というのは存在しないので、近傍領域から人を引っ張ってくることになる。そのため、そういった方はどうしても出身領域に偏った知識・スキルを有することになってしまう。これは仕方のないことだと思う。

とはいえ、我々のような、キャリアの初期段階でこの業界に参入した第二世代以降は、インデックス運用者に必要なスキルセットをきっちり定義し、主体的にそれを身につける努力をしないと生き残っていけない・・・という危機感を感じる。

では、インデックス運用者に必要なスキルセットとは何か。

長くなるので、今回は一旦ここで切るが、この点をしっかりと整理することで、上記で出てきたもうひとつの問題である、

「基礎的なインデックス運用のノウハウを身につけた若手~中堅層が、今後のキャリア形成について悩む。」

という問題に対する答えもおぼろげながら見えてくるように思う。

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インデックス投資ナイト

「インデックス投資ナイト」なるイベントが1/10に開催されたそうだ。

インデックス投資を勉強・実践するブロガー達によるイベント・・・とのこと。
批評家の山崎元氏のブログで発見。

http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/0199ff2a4664bff5eb0bd56008a04a4b

パネルディスカッションには上述の山崎氏の他、内藤忍氏など資産運用業界では名の通った人物が参加しており、思いの他豪華だった。

私自身、インデックス運用のファンドマネージャーをやっているのだが、

・インデックスファンドは低コストで透明性の高い商品で、顧客の長期的な資産形成にとっては有益な商品だ。少なくとも、既存のアクティブファンドよりも低コストな分だけ優位性がある。

という思いがある反面、

・一般的にはまだまだ、「ベンチマーク通り運用してるだけで、特段ノウハウなんていらないんでしょ?」という視線を感じることが多い。投資というよりは顧客の資産形成のためのインフラ構築、という色彩が強いので、仕事内容が事務作業中心で地味だ。アクティブのファンドマネージャーと比較して、報酬のアップサイドが限られている。(その分、運用成績による報酬のブレは少ないが・・・。)

という現実的な不満もそれなりにある。

そのため、こうしたイベントが開催されたことを知り、自分の仕事の意義も少しずつ世の中に浸透してきていることを実感して、明日からいつもより少し気分良く仕事に臨めるような気がした。

ちなみに、インデックス運用を極めようとすると、

・徹底した合理化による手数料の引き下げ。

・商品ラインナップの拡充。

という方向性で攻める必要がある。ただし、日本の運用会社ではインデックス専業の運用会社はなく、同じ会社で手数料の高いアクティブファンドも取り扱っているのが普通だ。

そのため、上記の方法でインデックス運用に注力すると、どうしても自社内で報酬の高いアクティブファンドからインデックスファンドへの乗り換えが発生し、短期的には収益が減少してしまうという問題が発生してしまう。

日本の投資信託の手数料は高すぎる、というのは業界内の人間にとっても、少し資産運用について知識のある個人にとっても最早常識となっている。そのため、もう少しインデックスファンドが普及しても良いように思うが、上記のような構造上の理由があるため、なかなか思うように普及しないのが現状なのだろう。

上記のような背景を踏まえ、山崎氏はブログで、

・日本では、インデックス運用で大きなプレゼンスを持つ運用会社がこれから登場する余地が十分ある。

と述べている。生命保険業界でも、シンプルで低コストな商品提供を売りにしたネット生保(ライフネット生命保険)が登場して話題を呼んでいるが、保険業界と同様の構造が資産運用業界にもあるのだと思う。

ファンドの運用、という観点でみると、やっぱりインデックス運用よりはアクティブ運用の方がファンドマネージャーとしてはやっていて絶対に楽しい。ただし、視野を広げてビジネスの観点でインデックス運用を見てみると、色々な可能性があり、結構面白い分野なんじゃないかと考えている。

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金融業界の流行り廃り

金融などという水ものの業界に身を置いていると、どうしても世の流行り廃りを気にしてしまう。

元来、流行り廃りには疎い方で、どちらかというと、流行っているものに飛びついたり、これから流行りそうなものを探す行為は浅はかで、周囲がどうであれ自分の価値観や興味の対象を愚直に深堀する方が粋だ・・・と考える傾向がある。

ただ、周期的に「これから流行る分野」にいち早く飛びついて、一山当てたい願望に囚われる時期が訪れる。大概、今の仕事がマンネリ気味な時や、友人・知人が転職して生き生きと働いているのを見た直後にそういった衝動に囚われる。

うろ覚えだが、自分が新卒で就職した前後では、コンサルブームは峠を過ぎていたように思うが、戦コン・投資銀行がステイタスの高い就職先ツートップだったと記憶している。現在はこういった市場環境なので、投資銀行は敬遠され(というかそもそも採用自体しないところも多いのではないか。)、戦コン、国内商社、国内金融機関あたりが人気が高いとのこと。

当時(2000年代前半)金融を志していた学生の間で人気だった分野は、M&A、証券化あたりだっただろうか。M&Aは目新しい金融技術で勝負、というよりは、リレーションシップビジネスの色彩が強いため、景気の波に左右されることはあるものの、今後もステイタスの高い職種であり続けるだろう。

証券化ビジネスも、当時の段階で既に、旨みのある大規模案件の証券化は一巡しており、今後は利益の出にくい小粒の案件中心になるだろう・・・というレポートを読んだ気がする。門外漢なので断定はできないが、現在では斬新なアイディアや最新の金融技術で勝負、というよりは、面倒な事務作業中心のコモデティと化している印象だ。

また、当時でも既にアメリカの住宅バブルは始まっていたため、金融専門の転職サイト等で、クレジット・デリバティブの経験者に対する需要が強い、という記載を見かけた記憶がある。2000年代前半にこの分野に飛び込んで、バブルが弾ける前にEXITしている人間は個人レベルで見れば結構いる筈だ。

当時、クレジット・デリバティブという名称を聞いた時の印象としては、

・デリバティブの取り扱う分野が、クレジットとか天候とか、段々パターンの定式化が困難な複雑系の分野になってきているな。

・デリバティブと相性がいいのは、債券等の人工的な色彩の強いプロダクトで、株式のような自然物に近い(要は複雑系な)プロダクトは相性が悪い。(株式のデリバティブはあまり流行っていないと誰かが言っていた。)

・だからクレデリはあまり面白い分野じゃないかな。

というものだった。この思考回路からしても、先見の明がないことは明らかなので、流行りを追わず、ちょっとニッチな専門分野を愚直に深堀する・・・という戦略を取ったのは正解だったのかも知れない。

ちなみに、既に昨年くらいから盛んにメディアでも報道されているが、次のバブル候補は「排出権取引」だそうだ。欧州では既に、排出権を取引するマーケットが形成され、排出権を原資産とするデリバティブも取引されているらしい。

ちなみに、国内の金融機関からも既に排出権先物価格に連動する投信が販売されているようだ。一瞬ネタで買ってみようかとも思ったが、どうせこの種の個人向けの新商品はやたらと手数料高いんだろう・・・と詳細を確認もせずに断念。

こういった行動パターンひとつ取ってみても、明らかに世の流行りに乗るのには向いていないんだろうな・・・ということを再認識。向かないことはしないに限る。

「向かないことはやらない。」「興味のないことはしない。」キャリア論や経営論の本で繰り返し連呼される原則だが、サラリーマンとして企業に所属していると、「人の嫌がることを率先してやれ。」「視野を広くして、バランスの取れた人材であれ。」という圧力を常に受けるので、この原則を貫くのは結構至難の業だ。

「人の嫌がること。」が「自分の向いていること。」だったりすると、結構組織人として大成しやすかったりするのだろうか・・・。

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コンテンツよりキャラ立ち重視

日本のブログ総件数は1000万をを越えるそうだ。

そのうち、月1度以上更新があるのは全体の18パーセントで300万件程度とのこと。想像より大分多い。詳細は下記リンク参照。

■国内ブログの総記事数は約135000万件に[ITmedia]20080703日 更新http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0807/03/news054.html

■ブログに関する調査。7割以上のブログは1日の平均アクセス数が50以下、週に1回以上更新を行なうブログは6割以上。[iMiリサーチバンク]20080521日更新

http://www.imi.ne.jp/blogs/research/2008/05/080521blog.html

ちなみに、1500件以上アクセスがある「活性ブログ」には更新回数が多いという傾向があり、その多くは週に34回以上更新しているそうだ。

ざっくりとした分類だが、見ていると活況なブログには以下の2種類のパターンがあるように思う。

・ブロガーのパーソナリティを魅力的に描写するタイプ。更新頻度が多く、プライベートな話題も多い。芸能人のブログなどはこの典型だろうか。

・コンテンツ自体の品質が高いタイプ。まとまった文章を記載するので、更新頻度は上述のキャラ立ち系のブログよりも低い。趣味の分野を深堀したり、専門的な職業人が自分の専門分野を題材にしているのはこのタイプ。

質の高いまとまった文章を毎日更新するのは現実的ではないので流行るブログは前者のパターンが多いのだろう。

友人曰く、クオリティの高いブログはネタが尽きて短命に終わる傾向があるとのこと。確かに、ブログはパーソナリティ描写に適したメディアだと思う。

そう言えば昔、現代で売れる創作は、構成やストーリーがしっかりしているものよりも、詳細な設定を持つ、「キャラが立った」登場人物が多数登場するような作品が多い、という批評を読んだことがある。

ビジネスで長期的なキャリア形成に成功している人物を見ても、抜群の品質のアウトプットを出す人材よりは、アウトプットは程々でもキャラが立っているタイプが多い・・・気がしなくもない。コンテンツよりもキャラの方が消費されにくいからだろうか。

コンテンツよりもキャラ立ち重視。

これが消費のスピードが速い現代で、息の長いキャリアを築く鍵なのだろうか。

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プレゼンタイガー(2)

伝える技術が重要なのか、或いは伝える内容が重要なのか。

ありふれた議論で、且つ両方バランス良くクオリティを上げる必要がある、という結論を言ってしまうと身も蓋もない。ただ、この2つを高いレベルで両立できている人は案外少ないことを考えると、ことはそう単純な問題ではないのだろう.

良くあるステレオタイプな意見としては、以下のようなものがある。

・研究職や専門職といったスペシャリスト型の人材は専門バカで、専門外の人間に自分の専門内容を分かりやすく伝える能力が低い。

・営業職やコンサルといったゼネラリスト型の人材は、流々とした口調で知ったようなことを言うが、言っていることに中身がない。

周囲の人間を見ても、コミニュケーションスキルの高い専門職もいるし、特定の分野の高い専門性を有するコンサルタントも存在する。(仕事ができると評されるのはこうしたタイプの人材が多い。)とはいえ、上記のような批判を良く聞くということは、一般にそういう傾向があることも事実なのだろう。では、何故こういった傾向が生まれるのか。

良くある理由づけとしては、ゼネラリスト型の人材はスペシャリスト型の人材よりも仕事上人と接する機会が多く、自分の考えや意見を他人に伝達する技術を要求される局面が多い、というものだろう。また、そもそも職業選択の段階で、伝える技術に興味がある人間がゼネラリスト型の職種に就く傾向があるのも一因だろう。

ただ、理由はそれだけではない気がする。

例えば私の身近には、人にものを教えるのが好きで、コミニュケーションに対する関心も高い専門職の後輩がいる。だが、正直プレゼン上手ではない。まあ、まだ若いしこういうのは経験の有無が大きいから・・・と周囲は生温かく見守っているのだが、彼のプレゼンに対する周囲の評価は、結構二極化する傾向があることに気付いた。

(A)   細かいことをごちゃごちゃ言っていて脈絡がない。明らかに重要ではない細部の話を延々として、肝心な話の全体像が見えない。その提案なり結論なりが、ビジネス上どう役に立つのかが見えない。

(B)   専門的な内容を、結論に至るまでのプロセスを丁寧に教えてくれる。今までなんとなく知っていたが、良く理解できていなかった事柄を理解できるようになった。

この二極化した評価を見ると、問題は伝える技術というよりは、伝える内容にあるように感じられる。

彼は自分の調査や研究を説明する際、結論に至るまでのプロセスを非常に詳細に説明する。そのため、結論に至るプロセスに興味を持っている人間にとっては、非常に分かりやすい説明となるが、その結論がビジネス上どう役に立つのかという点に興味を持っている人間にとっては、ポイントを外したプレゼンに見える。

当たり前だが、人によって興味を持っている対象は異なっている。伝える技術というと、ロジカルに話すとか、MECE(漏れなくダブりなく)に話すとか、小手先のテクニックを連想しがちだ。ただ、最も重要なのは、相手が興味を持っている内容を選択することなのだろう。

「伝える技術」とは、相手に最も適した「伝える内容」を選択する技術である。

・・・そう考えると、結局、技術と内容はどちらも大事、という結論になるのだろうか。或いは、両者は密接不可分なので、分けて考えることは無意味、ということなのだろうか。

個人的には後者の考え方が好きだが、この辺はもう価値観の世界だろう。

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プレゼンタイガー

最近、珍しくプレゼンをする機会があった。

客前に出ることが少ない専門職なので、上司からの振りがあった時は良い機会だと思い、二つ返事で引き受けることにした。

プレゼン自体はつつがなく終了し、その後の質疑応答も上司が要所要所で助け舟を出してくれたこともあり、平和に終了。社内の関係者のみのミーティングで、あまり張り詰めた場ではなかったが、一番上は役員まで出席していたため、適度な緊張感を味わうことができた。

普段使っていない筋肉を使った感じで良い刺激になったので、今後こういう役回りは積極的に引き受けてもいいかなと充実感を感じると同時に、自分のプレゼン時の悪い癖を再認識した。

悪い癖は以下の通り。
周囲を見ている限り、プレゼンが苦手なタイプには結構共通する傾向かもしれない。

①作成する資料に文章をびっしり書いてしまう。口頭での説明能力よりも、文章での表現の方が得意、という自覚があり、本番で上手く喋れなかったら・・・という不安があるので、言いたいことを全部書面に落としてしまおうというバイアスがかかる。

②分かりやすく簡潔に話せない。専門職系にありがちな傾向なのだが、下手に説明する対象に対する知識やこだわりがあるだけに、微妙なニュアンスや結論に至る経緯を話そうとして、話があっちこっちに飛んで要点が分かりにくい。結果、「で、結論は何?」と冷ややかに言われる。

③自分が喋っているときは人の目を見ない傾向がある。人の話を聞くときだけ見る。そのため、プレゼン時には目のやり場に困り、資料に目を落としがちとなり、オーディエンスの反応を掴みにくい。そのため、一旦リズムを見失うと立て直せない。

④質疑応答などのアドリブが要求される局面に弱い。質問に対して若干ずれた回答をしてしまい、話が噛み合わないまま数度やりとりをした後、質問者がまあいいや、といった雰囲気で会話を打ち切る。

新人時には顕著だったこれらの傾向も、周囲の指摘と自助努力で大分改善したかな・・・と帰り道に少し自己満足に浸ったのだが、実際にはどうだったのだろうか。

ちなみに、上記の悪い癖には以下のように対応することにしている。

①資料に文章は書かない。文字で書くのはキーワードだけ。後はグラフ・表等の絵にする。一度文章を書きだすと、あれもこれも・・・となって止まらないので。

②結論だけ喋る。喋る内容は本人的にはこれじゃ説明不足かな、くらいで十分。結論に興味があれば、オーディエンスは放っておいてもそこに至るプロセスや細部のディテールを聞いてくる。結論だけ話して食いつきがないようであれば、詳細を話してもどうせ興味は持たれないと割り切る。

③喋りながら周囲を見ようとしない。節目節目で喋りを止めて、そのときに周囲の様子を見るようにする。喋りながら見るとどうせテンパるだけだと諦める。そうすると不思議なことに、リズムに乗ってくると、結構周囲を見ながら喋っている自分に気付く。

④事前に自分の上司等の偉い人に内容をしっかりと説明しておく。その際に、いくつか注文や指摘があった場合は、例え自分の考えや価値観に合わない場合でも採用し、プレゼン内容に盛り込む。この瞬間、偉い人は当事者になるので、批判的な意見が出た場合でも積極的に助けてくれる。そして、偉い人が助け舟を出してくれるという安心感があると、自分も結構余裕を持って対応できる。

・・・と、こうもっともらしく書くと、自分がちょっとプレゼンが上手い気になってくるから不思議だ。

そう言えば、昔後輩の育成時に、仕事の方法論(笑)のようなことを説明していたとき、それを傍で聞いていた先輩から、「言ってることは正しいけど、そもそもお前はそれを出来ているのかと突っ込みたくなった」と言われたことがある。

当たり前だが、事態を認識する能力と、それを実践に移す能力は別なので、実践できていないと語る資格がないのであれば教育なんか成立しない。そのため、笑って流せば良かったのだろうが、若かりし自分は必死に以下のように弁明したと記憶している。

「自分と同じ苦労をさせないために、自分ができてなくて苦い思いをしていることこそ教えるべきなんですよ。」

・・・プレゼンの話がいつの間にか教育の話になってしまっている。
咄嗟に出た上記の考え方が正しいのかどうかは、未だに良く分からない。

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書評:サラリーマン再起動マニュアル

大前研一の雑誌連載記事を単行本化したもの。ご存じかとは思いますが、堀紘一(元ボストン・コンサルティング・グループ)と並ぶ日本の戦略コンサルの草分け的存在です。

■サラリーマン再起動マニュアル

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093794545/

本の内容自体は、

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①俺は凄いぜ、国際的にもBIGだぜ。モルガンスタンレーの元会長とも定期的に飯を食う仲だぜ。

②日本のビジネスマンは世界の一流どころと比較してこんなになってないぜ。

③ただ、国際的にBIGな俺様が主催する大学院で勉強すればそんなお前らでもまだ手遅れじゃないぜ。

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といういつもの三段論法で、本の巻末にはご丁寧に自身が主催する大学院の広告が載っているというお約束の展開で、目新しさは0なので特に触れません。

決してこういう大衆向けビジネス書ばかり読んでいる訳ではないのですが(とはいえ、好きか嫌いかと言われればかなり好きですが)、今回この本のレビューを書いた動機は、齢60歳を過ぎてこのバイタリティというか、暑苦しさを維持しているのは素直に凄いなという感銘を受けたからです。(注:誉めてます。)

2000年代では戦略コンサルは既に、投資銀行と並んで東大あたりの学生がこぞって受けに行く花形職種のイメージが強いですが、氏がマッキンゼーに入社した1970年代当時は日本では戦略コンサルの知名度は無いに等しく(給料は高かったようですが)、そんな訳のわからない会社に行って・・・と言われる類の会社だった模様です。

そんな状況で、日本オフィスが新設されたばかりの会社に飛び込んで、その業界の黎明期から成長期を支えた人物というのは、良くも悪くもキャラが濃い。明らかに、戦コンが人気職種になったから入社した秀才層とは人種が違うのだと思います。

黎明期にリスクを取って飛び込んで、その業界の成長を支えた人間が最も多くのリターンを得る、という構図は働く業種を選ぶ上で非常に重要な点だな・・・と、30歳を目前にして、将来の選択肢が徐々に狭まってきた身には痛いほど感じられます。新卒の就職活動時にこの点をもう少し意識していれば・・・(笑)

ちなみに、マネックス・ビーンズ証券の松本大社長も、確か東大生の就職先として外資投資銀行がメジャーではなかった時期にその業界に飛び込んで、30歳そこそこでゴールドマン・サックスのパートナーに上り詰めています。今の自分と同世代でGSのパートナーか・・・と思うと、自分の限界を見せつけられるようで色々考えさせられますが、これが若かりし頃に果敢にリスクをとった人間とそうでない人間の差なのでしょう。

ちなみに、上述のような人々の世代と比べて、現在20~30歳くらいの世代は明らかに上昇志向や物欲や出世欲に乏しいと世間では言われているようです。私も周囲を見ていてそう思うので、個人差はあるものの、総じてそういう傾向があるのは事実なのでしょう。私自身も、大前氏の著作を読んでいて、そのバイタリティに感心すると同時に、その暑苦しさにややうんざりしてしまうのも事実。

別にそんなに力まなくても自分のペースで程々でいいじゃん、というのは、豊かさが生んだ悪しき思考停止なのか、はたまた、文化的成熟のなせる技なのか。どちらなんでしょうか。

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書評:さあ、才能(じぶん)に目覚めよう

とりあえず、何もコンテンツがないのも寂しいので、昨年会社で微妙に流行った本のレビューを書きます。本屋でも店頭に平積みしてあったり、最近本を量産している勝間和代が推薦していたりするので、かなり部数は出ているんじゃないかと思います。

■さあ、才能(じぶん)に目覚めよう

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532149479

記載の流れは以下のような雰囲気です。(斜め読みなので細部はあまり覚えていません・・・。)

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①巷では、マネジメントの際には社員の弱みを極力なくし、バランスの取れた人材を育成することが常識とされているが、それは誤り。パフォーマンスの高い人材を育成するには、弱みではなく強みを伸ばすようマネジメントすべき、という主張をひとしきり展開。

②次に、Web上での才能診断テストを実施するよう促す。テスト実施には本の裏表紙に記載されたIDを入力する必要がある。(本を買わないとテストは実施できない。)テストは大体30分程度で完了。完了すると、34個に分類された才能のうち、自分の上位5つの才能が表示される。あくまでも強みに焦点をあてるテストなので、下位の才能を見ることはできない。

③テストが完了した読者に対し、34個の才能を1つずつ解説。

④何故弱みではなく強みにフォーカスする必要があるのかを再度力説。想定される反論や、実際に読者から寄せられた反論・疑問に対しても、具体例を交えて反論。

⑤34個の才能それぞれについて、その才能を持った部下の適切なマネジメント方法を解説。

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感想は以下のような感じでしょうか。

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・強みに注力せよ、という主張自体はさほど目新しくない。むしろ、最近のマネジメント関連の書籍では強みを伸ばせと言っている本の方がマジョリティな気がする。

・Web上でのテストは、世界中の被験者の膨大なデータを裏付けにして実施しているので、流石に良くできている。被験者が意識的にテスト結果を誘導できないように(直感的的な回答を引き出せるように)工夫されている。テスト結果自体は、大体本人の予想通りの答えとなるため、自分にこんな才能があったなんて、という新鮮な驚きはない。(自分が非社交的だと思っていた人が、社交性の才能が上位に来てびっくり、というようなことはまずない。)どちらかというと、今までぼんやりと認識していた自分の才能を、クリアに言語化して再認識させてくれるため、今までよりも客観的に自分の適性について考えることができる、といった印象。

・本の後半の、部下の才能別マネジメント方法はこの本の中で一番得るものが多かった。自分に照らし合わせてみても、こういうマネジメントをされると仕事がしにくい/しやすいというポイントを結構的確に表現している。

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とりあえず、Webのテストはやる価値があると思いました。この本が流行ったので、最近本屋に行くと、類似の才能分類系の類似書が目立つようになってきました。

こういう本が流行るってことは、最近はいい歳したサラリーマンが自分探しに熱心だという証拠でしょうか。一昔前であれば、勝ち組業界・職種・企業が今よりもはっきりしていたので、今ほど職業選択で思い悩むこともなかったでしょうし・・・。この種の話題では、いい歳した大人が自分語りを始めてしまうケースも散見されるため、話題にする際はくれぐれも理性を失わないようご注意下さい(笑)

ちなみに、私の上位5つの才能は以下の5つです。

・個別化

・内省

・最上志向

・原点思考

・指令性

内省・最上志向あたりは比較的該当者が多く、指令性・原点思考あたりがレアなスキルなんだそうです。言われてみれば当たっているような・・・という感じは占いと同様ですかね。

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ボケとツッコミのキャリアパス(3)

今回は、お笑い界の大御所3名(さんま/紳助/たけし)の強み・弱みについて分析をしてみます。

紳助よりはBIG3の一角であるタモリをいれるべきじゃないのかとか、ダウンタウン/ウンナン/とんねるずの平成御三家はどうするんだとか、色々と突っ込みどころはあるかと思いますが、個別の芸人にあまり詳しいわけではないので、その辺はご容赦ください。

ちなみに、いつも思うんですが、タモリってお笑いに分類されるんでしょうか。もともと芸人出身じゃないですよね。みのもんたあたりと同じカテゴリーで司会業とでもした方がしっくり来るような・・・。

■ケース1:明石家さんま(ツッコミ型)
芸能人素人問わず フリートークの仕切りの能力は随一。ただ、強いて言えば素人相手の方が得意な印象がある。上岡龍太郎曰く、「素人相手ならさんま、芸能人相手なら紳助」とのこと。ピン芸人でボケもこなすので、ボケ&ツッコミをバランス良くこなすオールラウンダーにも見えるが、実は落語は相当つまらないらしい点や、ネタを書いているのを見たことがない点を考えると、元来ツッコミ型と考えるのが妥当だろう。

■ケース2:島田紳助(ツッコミ型)
恐らく大御所と呼ばれる芸人のなかでは最もバランスがとれており万人受けする。綺麗事が多くてちょっと鼻につく、暴力沙汰が多くてちょっと・・・という意見はあるものの、固めの経済番組からお涙頂戴までこなしとにかく守備範囲が広いのが最大の売りか。若かりし頃には緻密な研究ノートを書いていた等、努力の人という印象が強く、典型的な晩成型キャラと言える。

・・・と、色々Webで調べながら書いているのですが、紳助は紳助・竜介時代は実はボケだったことが今判明。ずっとツッコミだとばかり思っていました。ややこじつけがましいですが、若かりしころはボケ担当だったものの、適性としては実はツッコミ型で、年齢を経るごとにツッコミ型にシフトしていったと考えるのが妥当な感じでしょうか。

尚、成功して息の長い芸人を見ていると、程度の差こそあれ、ボケ/ツッコミ双方の要素を併せ持っているタイプが結構多い気がします。どんな分野であれ、一角の業績を残す人間は、相反する二つの要素を併せ持つものだ、という昔の上司の言葉を思い出しました。

■ケース3:ビートたけし(ボケ型)
ボケ型でこの年齢で売れ続けている芸人は他にあまり思い付かない。そういう意味では非常に希有な存在。他のボケ型芸人と一線を画しているポイントとしては、

・映画監督としてヴェネチア国際映画祭でグランプリを獲得するなど、芸術路線でも成功を納めている。大学が工学部だったこともあり数学への造詣も深いらしく、数学の研究者になりたかったと語ったこともあるという。

・政治経済関連の硬めの話にも対応しており、知性を感じさせる。加えて、あくまでも笑いを絡めた社会風刺の立場を貫いており、真顔で社会問題を論じて底の浅さを露呈してしまうという愚は犯さない点が上手い。たけしを意識して、政治経済関連の仕事をしたがる爆笑問題の太田が、エキサイトすると笑いそっちのけで自説を熱弁して周囲を白けさせてしまうという行動をとりがちなのと比較すると、一枚も二枚も上手だろう。

といったあたりでしょうか。番組でメインを張る場合には、必ずと言っていいほど進行役のアナウンサーかツッコミ系芸人を配置しており、自分のスキルセットを冷静に把握して、他人を使ってウィークポイントを上手くカバーする術を知っている点も重要かも知れません。

ここまで考えてみると、何だ、ボケ型芸人にもたけしをロールモデルにして大御所まで上り詰めるキャリアパスがあるじゃないか、と思えます。ただ、たけしを明らかに意識していると考えられる、たけし以後のボケ型芸人の生き残り戦略は、いずれも功奏しているとは言い難い状況にあるように見えます。(ダウンタウン松本、爆笑問題太田など)

次回は、この理由について検討してみたいと思います。

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ボケとツッコミのキャリアパス(2)

前回はボケとツッコミの一般的な特徴を記載してみました。次はそれを踏まえ、更にもう一歩踏み込んで、浮き沈みの激しいお笑い界で長年生き残ってきた大御所を個別に分析してみたいと思います。

ちなみに話は脇道に逸れますが、前回の記載では、ボケ=早熟/ツッコミ=晩成、というざっくりとした分類をしましたが、そこで湧いてきたのは、

『ボケが晩成型になるのは不可能なのか?』

という疑問です。決して芸人に詳しい訳ではないのですが、現在の40歳代以上で大御所と呼ばれる芸人の数はツッコミ型>>ボケ型という印象です。

更に、再び強引にビジネスの世界に視点を移して見ても、出世して経営に関与する人材には、やはりツッコミ型=コミニュケーションスキルの高いゼネラリストが多い気がします。

かのGEのジャック・ウェルチも、ビジネスマンとしてのキャリアをエンジニアとしてスタートしたそうですが、エンジニアとしては取り立てて優秀ではなく、マネジメントに転じててから大成したというのは有名な話です。

一方で、特定技能に特化したボケ型人材は、プレイヤーとしての役割が求められる30代前半までは勢いがあるものの、マネージャーとしてのウェイトが高まる40代以降では急激に精彩を失うケースが散見されます。

ボケ型芸人が短命であることの、現段階での仮説は以下のようなものです。

・ボケの場合はキャリアの立ち上がりが早いので、若年のうちに十分な完成度にまで到達する。そのため、芸歴が長く単価の高い高齢芸人をわざわざ使わなくても、相対的に単価が安い勢いのある若手で十分笑いのクオリティは確保できる。また、高齢芸人はボケにとって重要な地頭・瞬発力・発想といった能力が低下する傾向があるため、若手よりも笑いのクオリティが下がる傾向がある。

この仮説が正しいとすれば、ボケ型芸人に残されているのは、できる限り早く能力を立ち上げて、賞味期限が切れる前に荒稼ぎしてアーリーリタイアを目指す、という短期集中・一転突破型のキャリアパスのみなのでしょうか。(某投資銀行業界みたいなキャリアパスですね・・・。)

この疑問に早急に答えを出す前に、まずはお笑い界の大御所達の特徴を見ていきたいと思います。

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ボケとツッコミのキャリアパス

しばらく前に島田紳助がネプチューン・くりいむしちゅーの番組に珍しくゲスト出演しており、お笑い界生き残りの秘訣(大袈裟か)を若手芸人達に伝授しているのを見た。名倉(ネプ)と上田(くりいむ)を今後も生き残ると持ち上げて、原田・ホリケン(ネプ)と有田(くりいむ)はもういっぱいいっぱいだと落してひとしきり笑いを取っていた。

ボケ連中を上手くいじって笑いを取っていると言ってしまえばそうなのだが、その発言の中には結構示唆に富むものも多く、触発されていろいろと考えさせられた。発言はうろ覚えですが以下のような感じです。

『三十代で司会をやる時は笑わせていればいい。四十代では笑いは3割くらい。五十を過ぎたら知的に見えないとダメ。』

『ネタ書くのなんかしんどい。苦労して笑ってもらえるかどうかもわからない。それに引き替え俺なんかこうやってだらだらフリートークしているだけで笑いになって、お金もらえるんだからいい商売だ。』

お笑い芸人でも歳を重ねる毎に求められる資質が異なってくる。番組を見ていて、お笑いのキャリアパスとビジネスマンのキャリアパスを比較すると、結構類似点が多く、自分の今後の身の振り方を考える上で結構参考になった。そのため、お笑い芸人のキャリア形成について体系的に考えてみることにしました。

題して、「ボケとツッコミのキャリアパス」。

全体的に大袈裟かつ強引なのは、こういう企画モノの文章ではお約束ということでご容赦下さい。

まず頭の整理として、ボケ型/ツッコミ型芸人の一般的な特徴を整理してみます。

■ボケ型:

・知識・経験よりは、頭の使い方やセンスがものを言う。ツッコミと比較して頭がいいと評される。

・独特の世界観を構築する。優秀なボケは総じて芸術方面での何らかの才能を持ち合わせている。

・キャリアの立ち上がりは早く、コンビの場合大抵二十代のうちはツッコミよりも脚光を浴びる。

・ネタを書くのはこちら。そこそこ売れてくると文筆業をはじめるのもこのタイプ。

■ツッコミ型:

・知識・経験に比例してツッコミの技術が向上。若いうちはボケと比較して見劣りするな・・・と思っていたらいつの間にかいい味出しているのがツッコミの理想的な成長パターンか。

・人間関係構築は総じてボケより上手い。ボケは自分の殻に閉じこもるタイプが主流だが、ツッコミは総じて社交的。そこそこ売れたツッコミは大概後輩芸人を引き連れて自分の一派を形成する。

・ボケは尖った才能を持ち、スキルセットをレーダーチャートで表現すると楔型なのに対して ツッコミはバランスの取れた円型となる。

やや安易にビジネスに当てはめると、ボケ型は特定の専門分野に秀でたスペシャリスト、ツッコミ型はバランスのとれたゼネラリスト、といったところでしょうか。次回では、たけし、さんま、紳助あたりの大御所芸人のタイプを分析し、芸人としての生き残りの道を模索します。

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