金融業界の流行り廃り
金融などという水ものの業界に身を置いていると、どうしても世の流行り廃りを気にしてしまう。
元来、流行り廃りには疎い方で、どちらかというと、流行っているものに飛びついたり、これから流行りそうなものを探す行為は浅はかで、周囲がどうであれ自分の価値観や興味の対象を愚直に深堀する方が粋だ・・・と考える傾向がある。
ただ、周期的に「これから流行る分野」にいち早く飛びついて、一山当てたい願望に囚われる時期が訪れる。大概、今の仕事がマンネリ気味な時や、友人・知人が転職して生き生きと働いているのを見た直後にそういった衝動に囚われる。
うろ覚えだが、自分が新卒で就職した前後では、コンサルブームは峠を過ぎていたように思うが、戦コン・投資銀行がステイタスの高い就職先ツートップだったと記憶している。現在はこういった市場環境なので、投資銀行は敬遠され(というかそもそも採用自体しないところも多いのではないか。)、戦コン、国内商社、国内金融機関あたりが人気が高いとのこと。
当時(2000年代前半)金融を志していた学生の間で人気だった分野は、M&A、証券化あたりだっただろうか。M&Aは目新しい金融技術で勝負、というよりは、リレーションシップビジネスの色彩が強いため、景気の波に左右されることはあるものの、今後もステイタスの高い職種であり続けるだろう。
証券化ビジネスも、当時の段階で既に、旨みのある大規模案件の証券化は一巡しており、今後は利益の出にくい小粒の案件中心になるだろう・・・というレポートを読んだ気がする。門外漢なので断定はできないが、現在では斬新なアイディアや最新の金融技術で勝負、というよりは、面倒な事務作業中心のコモデティと化している印象だ。
また、当時でも既にアメリカの住宅バブルは始まっていたため、金融専門の転職サイト等で、クレジット・デリバティブの経験者に対する需要が強い、という記載を見かけた記憶がある。2000年代前半にこの分野に飛び込んで、バブルが弾ける前にEXITしている人間は個人レベルで見れば結構いる筈だ。
当時、クレジット・デリバティブという名称を聞いた時の印象としては、
・デリバティブの取り扱う分野が、クレジットとか天候とか、段々パターンの定式化が困難な複雑系の分野になってきているな。
・デリバティブと相性がいいのは、債券等の人工的な色彩の強いプロダクトで、株式のような自然物に近い(要は複雑系な)プロダクトは相性が悪い。(株式のデリバティブはあまり流行っていないと誰かが言っていた。)
・だからクレデリはあまり面白い分野じゃないかな。
というものだった。この思考回路からしても、先見の明がないことは明らかなので、流行りを追わず、ちょっとニッチな専門分野を愚直に深堀する・・・という戦略を取ったのは正解だったのかも知れない。
ちなみに、既に昨年くらいから盛んにメディアでも報道されているが、次のバブル候補は「排出権取引」だそうだ。欧州では既に、排出権を取引するマーケットが形成され、排出権を原資産とするデリバティブも取引されているらしい。
ちなみに、国内の金融機関からも既に排出権先物価格に連動する投信が販売されているようだ。一瞬ネタで買ってみようかとも思ったが、どうせこの種の個人向けの新商品はやたらと手数料高いんだろう・・・と詳細を確認もせずに断念。
こういった行動パターンひとつ取ってみても、明らかに世の流行りに乗るのには向いていないんだろうな・・・ということを再認識。向かないことはしないに限る。
「向かないことはやらない。」「興味のないことはしない。」キャリア論や経営論の本で繰り返し連呼される原則だが、サラリーマンとして企業に所属していると、「人の嫌がることを率先してやれ。」「視野を広くして、バランスの取れた人材であれ。」という圧力を常に受けるので、この原則を貫くのは結構至難の業だ。
「人の嫌がること。」が「自分の向いていること。」だったりすると、結構組織人として大成しやすかったりするのだろうか・・・。
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