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2009年2月

リターンリバーサルとランダムウォーク(2)

(前回の続き)

アルゴが普及する以前でも、前述のような執行方法は人の手によって取られているのだが、私は正直なところ、この方法を聞くたびに違和感を感じてしまう。この執行手法は、以下のような前提を置いているからだ。

・マーケットが前日比で高く始まった場合は、その反動で株価が下がる。
⇒だから執行を後ろに伸ばす。
・マーケットが前日比で安く始まった場合は、その反動で株価が上がる。
⇒だから執行を前倒しにする。

要は短期的な株価変動にリターンリバーサルの前提を置いているのだ。株価にリターンリバーサルの傾向があることを一概に否定はしないのだが、それってちゃんとデータで検証してた上で前提に置いてるんでしたっけ?という疑問と、そもそもインデックスファンドの運用哲学と、リターン・リバーサルを前提とすることって整合的でしたっけ?という疑問を抱いてしまう。短期の株価変動を説明する理屈としては、

・リターンリバーサル。株価は波打ち、平均回帰的に変動する傾向がある。
・ランダムウォーク。株価変動はランダムであり、過去の値動きと将来の値動きは独立である。

という二種類がある。どちらが正しいとか正しくないとかいう議論は神学論争になるので触れないが、少なくともインデックス運用の哲学というのは、以下のようなものだった筈。

・マーケットタイミングを取ることは不可能。そのため、手数料やインパクトコストといった合理的な努力で抑制可能なコストを抑え、できる限り相場に長く留まり、株式の長期のリスクプレミアムを享受すべき。

要はインデックス運用の哲学はランダムウォーク派と親和的なので、インパクトコストがかからない範囲で、極力速やかにポジション構築を完了させ、キャッシュを寝かせておくことで発生する機会コストを最小化するのが合理的な判断の筈だ。

これと同様の理由で、私はドルコスト平均法もどうしても好きになれない。

ちなみに、ISが上記のようになっているのは、こんな理屈っぽい理由ではなく、以下のような①②のような不幸なケースが発生した場合、まだ②の方が「分散執行しました」と顧客説明がし易い、という理由も大きいと思う。

①高く始まった寄付で一気に購入した後、マーケットが下落して、その日の高値で一点買い。
②寄付が高く始まったので、1日かけて分散執行した。結果、日中も株価は上昇し続け、結果として寄付直後で買った方が傷は浅かった。

個人的に私は、戦略や哲学がしっかりと練れていれば、戦術はシンプルに表現できる。凝った戦術が必要なケースというのは、戦略立案段階で失敗している証だ。戦術で凝るのは局所最適でしかない、と考える傾向がある。

サラリーマン(特に若手)は、大上段に振りかぶって、正論だが身も蓋もないことを言うより、与えられた権限の範囲内でディテールにこだわって仕事をした方が評価される傾向があると思うので、私のこの傾向はサラリーマンファンドマネージャーとしては明らかにマイナスだと思う。

ただ、成人してからだとこういう根本的な性質は変わらない・・・ので、こういう傾向が活きる場なり職種なりを探すことの方が建設的なんだろう、と思っている。

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リターンリバーサルとランダムウォーク

インデックスファンドに大規模な資金流入があった場合は、原則速やかに株式を購入してエクスポージャーと取ることになる。エクスポージャーを取る方法は、

①流入した資金を使って直接現物を購入する。
②流入した資金分の先物を一旦購入してヘッジをし、後日先物を外して現物に乗り換える。

①の場合、速やかに現物株式を購入してファンド構築を完了できるというメリットがある反面、追投の規模が大きい場合は一気に購入するとインパクトでマーケットを崩してしまい、不利な価格で約定してしまうというデメリットが存在する。

一方、②の場合、先物は現物と比較して流動性があるので、速やかなポジション構築が可能な反面、先物から現物に乗り換える(EFP取引=Exchange of Futures for Physicals)際に証券会社にコストを支払う必要がある、一時的に先物を保有した場合、現物と先物の価格の乖離でファンドのTEが上昇する、等のデメリットがある。

ちなみに余談だが、最近のような相場下落時には、

・インデックスファンドへの資金流入が活発になり先物売り・現物買いのEFP取引を機関投資家がやりたがる。
・一方で、EFP取引の相手方(先物買い・現物売り)となる証券会社は、リスク抑制のために現物の在庫を減らしている。(日本の裁定取引の残高は現在歴史的な低水準)また、在庫が無い場合は、EFP取引を受けた後マーケットで反対売買をしてポジションを解消することになるが、昨今のボラタイルな市場環境だとポジション解消時のリスクが大きい。

という二重の要因により、現物買いのEFP取引コストはかなり高水準となっている。

資金流入があった場合には、2/19の引値基準、といったように特定の日付の終値を基準に資金が投入され、その終値を基準としてパフォーマンス評価がされるので、①の直接現物購入の場合は、極力その基準の価格からずれないように購入する必要がある。

その際に、IS(インプリメンテーション・ショートフォール)というトレーディングの手法を使用する。最近は微妙にアルゴリズムトレーディングが流行(という程のものでもないか)しているので、証券会社によっては結構凝ったアルゴリズムで執行することが可能だ。概略は以下の通り。

・短期で一気に執行してしまうと、上述のインパクトコストが増加してしまう。
・一方で、執行を分散して時間をかければかけるほど、価格変動のリスクが上昇する。
・そのため、インパクトコスト、価格変動リスクを最小化するように執行。

ちなみに、凝ったアルゴリズムの場合、以下のようなことをする。(2/19引値基準で2/20にISで執行する場合)

・現時点の市場価格が2/19の引値よりも高い場合(前日のアメリカが上昇して、寄付が高く始まったような場合)、執行期間を後ろ倒しにしてタイミング分散して執行。
・現時点の市場価格が2/19の引値よりも低い場合は、インパクトコストが高くならない程度に速やかに執行。

(長いので次回に続く)

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確信を持って余計なことはしないという戦略

人間は『同額の利益による満足』よりも『同額の損失による不満』を2倍以上強く認知する、などということが行動ファイナンスあたりの書籍で良く書かれているが、インデックス運用を担当しているとこのことを実感することが多い。

インデックス運用はコモデティであり、顧客は運用のクオリティ(トラッキングエラー等)よりもコスト(信託報酬)に対する関心が高いので、インデックスマネージャーとしては極力運用プロセスを合理化して信託報酬低減に努める・・・のがあるべき姿だ。

しかし、現実問題としては、信託報酬は我々のようなPCの前に一日中座っている世間ずれした専門職が与り知らぬところで、営業上の複雑な事情により決定される。そのため、インデックスマネージャーは、自分達でコントロール可能な運用のクオリティを上げるべく、日々地道な努力をしている。そして、昨年よりもコンサル評価が上がったの下がったのと言って一喜一憂している。

ただし、世の常として、自分が興味を持っているほどには他人は自分のやっていることに興味を持ってくれないものだし、加えて大半の顧客はインデックスファンドのクオリティには興味がない(従って営業担当も興味を持たない)ので、結果的に「あいつらはどうでもいいような細かいことに拘って・・・」と後ろ指を指されることになる。

とはいえ、資産規模の大きな年金の顧客であれば、パフォーマンスが数bp違うだけで、金額にすると結構な額の差が出てくるので、先進的な顧客の場合、結構運用の細かな部分にまでチェックが入る。通常の感覚だと、「細かな部分にまで突っ込みが入って大変だ」ということになるのかも知れないが、インデックスマネージャーの場合、自分達の専門性をアピールする数少ない機会とばかりに、口では面倒だと言いつつも、結構喜々として説明資料を作ったりしている。

このクオリティを上げる努力としては、以下のようなものがある。

・大規模なベンチマーク変更時のリバランスを工夫する。
・ベンチマークに含まれている倒産リスクの高い銘柄を除外する。
・ストックレンディングのパフォーマンスを向上させる。
・ファンドへのキャッシュフローがあった場合に、トレーディングの方法を工夫する。

これらは突き詰めると結構奥が深く、詳しい人間が見ると上手いか下手かははっきりと差が分かるのだが、いかんせん数字(ファンドのパフォーマンス)ではあまり差がつかない。そのため、ざっくりやっても手間をかけても数字が変わらないのであれば、人件費というコストをかけている分だけ手間をかける方が経済合理性がない、と言われると正論なだけになかなか反論が難しい。

尚、日本に特有の傾向のようなのだが、顧客はファンドで保有する銘柄が倒産することを嫌う傾向がある。インデックスファンドの場合、1000銘柄以上に分散して投資するので、一定数倒産する銘柄があるのは当然だ。ファンド全体でリスク分散がなされていれば、倒産銘柄の保有をいちいち気にする必要はない、という姿勢が経済的には合理的なのだが、この説明では通用しない。

経済合理的な観点ではなく、受託者責任の観点から、倒産懸念のある銘柄をモニタリングしていないのはけしからん、という発想だ。(受託者責任ってなんだよ・・・。経済合理性を追求するのがファンドマネージャーの責任じゃないのか・・・と思うこともあるが。)

話が逸れたが、こういう傾向があるので、日本のインデックスファンドは、完全にベンチマーク通りに銘柄を保有するのではなく、倒産リスクの高い銘柄を除外するのが一般的だ。その際に、

①同業他社がみな保有していた倒産銘柄を自社だけ保有していなかった。
②同業他社がみな非保有だった倒産銘柄を、自社だけ保有していた。

というケースを比較すると、①のプラスの効用と②のマイナスの効用を比較すると、圧倒的に②のマイナスの方が大きい。そのため、同業他社との競争、という観点からすると、他社と異なる戦略を取ってリスクを取るよりも、他社動向を横目で見つつ、平均的な戦略を採用し続けた方が明らかに有利だ。

運用上の工夫をしても数字に表れにくい&顧客は利益よりも損失に敏感、という上記の傾向を考えると、余計なことはせずに大きく負けないようして、後は競争相手が余計なことをして脱落するのを待つ、というのが最も合理的な戦略となる。業界の著名ななアクティブ運用のマネージャーも近いことを言っていたので、インデックス運用だけでなく、年金運用全般に当てはまる傾向なのかもしれない。

退屈な戦略と言ってしまえばそれまでだが、人間は「他人より秀でたい」「人と違うことをして注目されたい」という欲求があるので、それに逆らって余計なことをしないのは、かなりの精神的な抑制が必要だ。

長期の資産運用で一番重要なのは、投資の知識や技術ではなく、自制心なのかもしれない。

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インデックス運用者のキャリアパス(3)

ポートフォリオ構築能力、一般的にファンドマネージャーのスキルと聞いてまず連想するのがこれだと思う。ただ、インデックスマネージャーの場合、ポート構築時に必要とされるスキルはアクティブのそれとはやや(だいぶ?)異なっている。

教科書的な整理になるが、アクティブマネージャーのポート構築の手順は以下のような感じとなる。(アクティブの経験はないので、あくまでもイメージ。)

①リサーチにより、個別銘柄の期待リターンを求める。

②過去の値動きをもとに、個別銘柄のリスクを求める。

③個別銘柄を組み合わせて、リスク/リターンの効率が良い銘柄の組み合わせを考える。

④売買時のコストを考慮して、実際のトレードの計画を立案する。

会社によって役割分担は異なるだろうが、成熟した業界の常として資産運用業界でも門分化の流れが進んでいるため、ある程度規模の大きな運用機関では①をアナリスト、③をファンドマネージャー、④をトレーダーが担当しているのが普通だと思う。②については、クオンツ運用に強い運用会社であれば独自のリスクモデルを持っていることもあるかも知れないが、普通はBarra社のリスクモデルを使用して終了なのではないか。

建前としてはFMのコア業務は③ということになるのだろうが、定性アクティブのファンドの場合、ターゲットとするファンドのTEには大分幅を持たせており(対ベンチマークで3%~10%とか)さほど厳格なリスクコントロールをする必要がないことや、そもそもアクティブのFMは定量分析には興味がない(或いは意味がないと馬鹿にしている)ケースが多い。そのため、自分の相場観で銘柄を選んでポートを組んで、最後にBarraで推定TEを計って大体数字に違和感がなければ終了、という感じなのではないか。

クオンツ系のアクティブファンドの場合、定性アクティブよりも厳格なリスク管理が要求されるため、③の部分に独自のノウハウがあるとアピールするケースが多い。そのため、リスク/リターンの最適化ロジックを自前で持っているケースも多いと思う。

やはり、定性アクティブのFMが圧倒的に力を入れているのは①の銘柄選択だろう。FMのスタイルや会社によって、ちゃんとアナリストの推奨を元にポートを組んでいるケースもあれば、アナリストの話なんぞ全く聞かずにFMが自分の相場観で銘柄を選んでいるケースまで色々あるとは思うが、この辺の役割分担についてはセンシティブな部分ですので部外者が立ち入るのは止めておきます(笑)

ちなみに④については、トレーディングが好きなFMの場合は結構相場を見ながらあれこれ執行方法を考えるケースもあるにはあるが、もの凄く執行が困難な低流動性銘柄でもない限りは、トレーディングではさほどパフォーマンスに差がつくわけではないので、特段興味がない(或いは面倒なオペレーションはやりたくない)というのが主流なのではないか。

何となくの印象だが、アクティブマネージャーの興味は、以下のような感じとなっている。

銘柄選択>リスク管理>オペレーション(=コスト管理)

当然、これは個人や会社によっても異なるので、安易な一般化は慎まなければならないが、この不等号は運用フロントでの職種の暗黙の序列として見ることもできると思う。

アナリスト・アクティブFM(銘柄選択中心)のステイタスが高くて、その次にクオンツ系(リサーチもするけどリスク管理中心)が来て、その次にインデックスFM(リスク管理・オペレーション中心)が来て、トレーダー(オペレーション中心)が来る・・・といった感じだ。

上述の仕事の特徴をまとめると、以下のようになる。

                  パフォーマンスへの寄与    合理的な努力でコントロール可能
銘柄選択               大                                          小
リスク管理              中                                          中
オペレーション         小                                          大

パフォーマンスへの寄与が大きい仕事ほどステイタスが高い、というのは運用フロントという職種の性質を考えると当然と言えば当然かもしれないが、一方でパフォーマンスへの寄与が小さいものほど合理的に制御可能というわけだ。

資産運用をビジネスとして考えた場合、規模の大きな運用機関が銘柄選択を自社の競争力の原泉にするのは厳しいものがある。銘柄選択は組織としてノウハウを蓄積するのが困難な、俗人的な能力だし、例え優秀な運用者でもパフォーマンスは非常に不安定だ。こうしたボラの高い能力を前面に押し出すのは、経営上リスクが大きい。また、優秀な運用者はほぼ例外なく職人系の人材なので、縛りの多い大企業よりも、ヘッジファンド等の小回りの利くところで自分の思うようにやりたいと考える傾向があり、人材の引き留めが困難だ。

運用会社の経営としては、

・プロダクトのラインナップを拡大。(商品開発力は組織的なノウハウ蓄積が馴染む)

・パフォーマンスは、勝たなくてもいいから手堅く負けない。(リスク管理・コスト管理を徹底)

・あとは営業+コンサルでの顧客へのパフォーマンス以外のサービス力を向上。

という戦略の方が明らかに合理的だと思う。商品開発力+リスク/コスト管理能力、営業力は全て組織でのノウハウ蓄積が可能だし、合理的な努力と結果の相関も高い。

銘柄選択とか運用力とかいう非常に曖昧なものを徹底的に磨き上げてブランドイメージを確立するという戦略で成功している運用会社(フィデリティやキャピタル)もあるが、現在の総花的な日本の運用会社がそちらに舵を切るのは至難の業だと思う。

ポートフォリオ構築の話からかなり話が逸れてしまったが、今後、運用フロントでのリスク管理/コスト管理系職種の地位は相対的に向上していくと考えている。

そして、その二つの能力を高い水準で兼ね備えているのがインデックスマネージャーなのだ・・・と結ぶと、強引且つわざとらしいが、これが、運用フロントでのヒエラルキーの中で数年間悩み続けて出しだ、現時点での結論だ。

自分の職種に誇りを持つ、ということは口で言うほど容易いことではないが、こうして世間のステイタスや社内でのヒエラルキーに依るものではない、自ら悩んで見出した誇りというのは案外長続きするのではないかと思っている。

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Don't tink. Feel!!

人材配置や社員の育成時には、その人物の弱みではなく強みに着目しろ・・・。

多少なりともビジネス関連の書籍を読んだり、マネジメントをかじったことのある人間にとっては、1度は耳にしたことがある、常識と呼んでも差し障りのない原則だろう。

弱みを克服するためには膨大な努力と精神的な苦痛を伴うが、投下した労力に見合う成果が得られないばかりか、その人物の強みを殺す結果にもなりかねない。一人の人材に全方位の能力を要求するのではなく、適材適所を考慮し、異質な個性の組み合わせでビジネスを全体最適に導くのが優れたマネージャーだ。

・・・と、こう書くとあまりにも当たり前のことのようだが、知識として知っていることと実践できることの間には大きな溝がある。自分の行動を省みても、周囲の人間の振る舞いを見ても、普段口では上記のようなことを言っていても、知らず知らずのうちに相手の弱みに焦点を当ててしまうことは多いと思う。こうなる理由としては、以下のようなものがある気がする。

(1)本当は全方位において高い能力をもったバランスの取れた人材がベストだと考えている。ただ、そんな人材はそうそうおらず、周囲の人間にそれを要求するのは現実的ではないので、次善の策として「強みに着目する」のがよいと考えている。だから気を抜くと、相手の弱みが気になってしまう。

この考え方に対する反論はこうだろうか。

・ある能力を高い水準で手に入れる場合は、必ず他の能力を犠牲にする必要がある。人材の各能力は独立して伸ばせるものではなく、能力の組み合わせによっては負の相関があるものもある。

例えば、数学のように抽象的な思考能力に非常に高い能力を示す人材の多くは、具体的な知識の収集(要は暗記モノか)が苦手だ。抽象化の能力というのは、ものごとから無駄なものをそぎ落としてエッセンスのみを抽出する能力なので、事実をありのままの姿で脳裏に留める能力を犠牲にする。抽象化に長けたある友人は、暗記科目が苦手な理由として「意味が薄くて頭に入らない」と言っていた。

そのため、全方位の能力を高い水準で維持するのは、努力の多寡とか、その人物のスペックなどにかかわらず、人間の構造上無理、ということになる。

また、人の弱みに目が行ってしまうもう一つの理由としては、

(2)強み・弱みというものは同じ能力を異なる側面から捉えているに過ぎない。ある人物にとっては強みと映る能力でも、他の価値観を持つ人間に取っては弱みと映る。そのため、本人は強みを伸ばそうと努力しているつもりでも、価値観の違う人間にとっては弱みの上にあぐらをかいているように見えて、嫌悪感を覚える。

というものがあるかも知れない。

例えば、「社交性」という能力。価値観の異なる多様な人々と意思疎通を図れる、という点では強みだが、価値観の異なる人々と良好な関係を築くためには、相手の懐に一定以上踏み込まずに、適度な距離感を保つ必要がある。この態度は、特定の価値観の合う人間と深い関係を構築したいタイプの人材からすると、「腹を割って付き合わずに、表面的な付き合いしかできない」という弱みと映る。あいつは人脈はあるかも知れないが人望はない、と言うわけだ。

こうした人間が絡むマネジメント系の能力は、知識として知っているだけでは殆ど役に立たない。そればかりか、誤った解釈をして変な先入観を持ってことにあたってしまい(人間は自分の都合の良いように解釈しがちだ)、かえって知識があることがマイナスに作用するケースも少なくないように思う。

とにもかくにも、実際に行動して痛い目を見ないと成長はないのだろう。
考えるな、感じるんだ、といったところだろうか。(古いな)

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戦略的であれ

投資関連の職種に就いている人間であれば、誰しも一度は大投資家と呼ばれる人々の伝記や、投資スタイルについて記載した本を読み漁った経験はあると思う。

投資のスタイルは多様なので簡単にパターン化はできないのだが、敢えて強引に分類すると、人並み外れて成功した投資家には以下の2パターンの人種がいると思う。

・価格の一時的な歪みや収益機会をいち早く見つけ、他人に先んじて鞘を抜く短期投資家。銀行や証券会社の自己勘定のディーラーなどは典型だが、投資銀行などでいち早くビジネスチャンス(カモ)を見つけ、短期で荒稼ぎして、凡人が群がってくる頃にはいち早くExitするような人種もこのカテゴリーだろう。相手とwin-winの関係を構築し富を分け合うのではなく、ゼロサムゲームで下手くそな奴や知識のない奴から富を巻き上げる。

・企業の超長期の成長性に賭けたり、マクロ経済の大局的な流れを予測して、数十年というスパンで資金を投下する長期投資家。この人種は一旦自分が信じてポジションを取ったら、あとはもう短期の相場変動には見向きもしない。バフェットやジム・ロジャースあたりを例に挙げると分かりやすいかもしれない。

大投資家として認知度が高い人物は後者のタイプが多い気がする。その理由付けとして、

・ゼロサムゲームの場合は、短期的に勝つことはできても、数十年という長期に渡って勝ち続けるのは不可能。

・長い目で見て最後に笑うのは、そうした投機的な投資家ではなく、長期での資本の提供により経済の発展に寄与する長期投資家なのだ。

という説明がされることがあるように思うが、

・投機系の投資家は何よりも自分の手のうちを知られるのを嫌がるので、そもそも表舞台には出てこないので知名度のある人物がいない。

・投機系のストラテジーは寿命が短いので、投機で成功するには、引き際が非常に重要になってくる。そのため、そもそも長期で相場を張り続けなければならないような奴は下手くそだ。上手い奴はさっさと稼いでアーリーリタイアしている。

という事情もあると思うので、どちらが成功しやすいかは一概には言えない。

だた、対極的に見える両者だが、自分のスタイルを愚直に貫く一貫性と、果敢にリスクを取りに行く姿勢は共通しているように思う。彼等は間違っても分散投資などという単語は口にしない。

以前、あるディーラーが以下のようなことを言っていた。

「トレードの方法はなんでもいい。とにかく、大きくリスクを取って、それをある程度の期間継続していればいつかは勝てる。だた問題は、勝つまでやらせて貰えるかだ。」

重要なのは、一貫性を持ってリスクを取り続け、且つ損切り等の守りのスキルを磨いて、できる限り長く相場にとどまり続けること、ということだろうか。

これを読みかえると、「戦略的であれ」ということと同義だと思う。

小手先の戦術に拘泥しているうちは成功はないということか。

一貫性と果敢にリスクを取る姿勢。口にすると身も蓋もない精神論だが、これほど実行するのが困難なこともない・・・と思う。

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