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株価指数とベンチマーク

こうした経済状況だと、当然のことながら倒産する会社が増える。株式のインデックスファンドは最適化法で極端にユニバースを絞り込んでいない限りは、通常千数百もの銘柄を保有しているので、当然、その中から一社や二社倒産銘柄が発生するのは当然だ。

特に、国内株でTOPIXをベンチマークとしている場合、東証一部全銘柄が組み入れ対象となっているため、2009年3月末時点で組み入れ銘柄数は1710銘柄と他の株式ベンチマークと比較して明らかに多い。

インデックスファンドのベンチマークとして開発された、国内株のラッセル野村プライムだと銘柄数が増加しないよう指数構築ルールが定められているので、ほぼ1000銘柄前後で安定しているし、外国株のMSCI_KOKUSAIの場合でも、3月末時点で大体1300銘柄強といったところだ。

これは、もともとTOPIXは「ベンチマーク」として開発されたものではなく、「株価指数」として開発されたものをインデックスファンドのベンチマークとして事後的に使用するようになったため、適切な銘柄除外のルールが整備されていない、という理由による。

「株価指数」と「ベンチマーク」の違いとは何か、ざっと整理すると以下のようになる。

■株価指数:
ある特定の国や業種の株式全体の動向を表現するための指標。あるカテゴリーの動向を適切に反映する必要があるため、「市場代表性」を重視する。つまり、できる限り網羅的に銘柄を組み入れ、コーポレートアクションに伴う流通株数の変化は、極力リアルタイムで指数に反映する必要がある。

■ベンチマーク:
インデックスファンドがトラックする対象となるため、「市場代表性」と「再現性」をバランス良く兼ね備えている必要がある。この二つの概念はトレードオフの関係にある。銘柄数を増やした方が市場代表性は向上するが、ファンドの管理コストが上がり、再現性は低下する。また、ベンチマークの変更を頻繁に実施すると、市場代表性は向上するが、ファンドの売買回転率が増加し、売買コストがパフォーマンスを圧迫することになる。

指数ビジネスは最大手がシェアを独占する類のビジネスだが、最もメジャーな指数が必ずしも品質が高いわけではない点が面白いところだ。例えば国内株の場合、TOPIXよりも後発のラッセル野村プライムなどの方が、ベンチマークとしては明らかに練れている。

更に、ベンチマークについて考える際には、上記の対立の他に、構築方式が「ルール方式」か「コミッティ方式」かという対立がある。違いは以下の通り。この二つも、基本的に対立概念だ。

■ルール方式:
事前に指数構築方法のかなり細かい部分まで定量的にルール化して、実運営では予め定められたルールに則ってデジタルにリバランスを行う。「透明性」「一貫性」に秀でる反面、個別に事態に対処するわけではないので、「柔軟性」に難がある。また、透明性が高いことの裏返しとして、指数のリバランス内容が事前に推測可能なので、投機筋に先回りされてリバランス時のアノマリーが発生しやすい。

■コミッティ方式:
ルールは、指数構築の原理原則を定めるにとどめ、細かなプロセスまではルール化しない。リバランス内容は、経験豊富な有識者が都度、原理原則に則って決定する。密室での決定となるため、透明性に難があり、またコミッティのメンバーの入れ替えによりポリシーがぶれるリスクがあるので、一貫性にも問題を孕む。しかし、個別のコーポレートアクションに柔軟に対処できる、投機筋のターゲットになりにくい、というメリットがある。

国内株の場合、ラッセル野村は前者、S&PJapan500は後者、TOPIXは両社の中間、というイメージだ。

このように、銘柄数が多いということはメリット・デメリットがあり、必ずしも悪いわけではないのだが、こうした倒産銘柄が多い現状だと、デメリットが際立ってしまう。日本特有の現象だという話を聞いたことがあるが、日本の年金顧客は、保有銘柄が倒産することを非常に嫌がる傾向がある。

私はキャリアが浅い頃は、

・倒産懸念がある銘柄は、潰れたら価値は0だが、もし業績が持ち直した場合は通常の銘柄よりも良いリターンとなる。そのため、倒産懸念銘柄をポートから排除することは、倒産リスクを排除できるものの、復活時のリターンを享受することを放棄することに繋がる。そのため、倒産銘柄を保有していたか否かという点にこだわるよりも、ファンドトータルでのリターンを最大化することに注力する方が経済合理的だ。

・・・などと考えて、倒産銘柄保有をやたらと気にするシニア連中を冷やかな目で見ていたのだが、そう単純な話でもないようなのだ。

長くなるので、倒産銘柄については別途書くことにする。

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